情報商材詐欺の返金判例・裁判例|実際に返金が認められたケース

情報商材・副業詐欺
情報商材詐欺の返金判例・裁判例|実際に返金が認められたケース

この記事の監修者

青山北町法律事務所 代表弁護士

松本 理平(まつもと りへい)

消費者詐欺分野で長年、詐欺業者と対峙をしてきました。消費者詐欺分野の類型や手口に精通しています。詐欺業者のウィークポイントや実態にも詳しく切り込みます。その他、全国ネットでのテレビなどコメンテーター等にてメディア露出多数

「情報商材詐欺で本当に返金できるのか」

この疑問を持つ方に、最も説得力を持って答えられるのは、法律の説明でも弁護士の主張でもなく、実際に裁判所が下した判決です。

  • 「返金不可と契約書に書いてある」
  • 「自分で払ったのだから仕方ない」
  • 「詐欺と証明できるか自信がない」

こうした言葉で諦めていた方に知ってほしいことがあります。

実際の裁判例において、これらの状況にもかかわらず、返金が認められているケースが積み重なっています。

このページで紹介する5つの判例は、いずれも実際に裁判所に持ち込まれ、返金・損害賠償が認められた事案です。

旭川地裁令和4年判決

SNS・LINEで「完全自動で資産を125倍に」「あらゆる人を億万長者にする」と謳ったFX自動売買ツールの販売。消費者契約法上の断定的判断の提供が認められ、返金が命じられた。

さいたま地裁令和5年判決

「毎日3万円儲かる」という仮想通貨アービトラージツールの販売。販売業者の不法行為に加え、決済代行業者の重過失による損害賠償責任まで認められた。

東京地裁令和元年判決

「AIが自動でお金を増やす」「3ヶ月で16億円を稼がせた秘密の手続き」という投資DVD。誇大広告(特商法12条違反)と共同不法行為が認定された。

大阪地裁平成21年(ワ)第16489号

インターネットショッピングサービスの契約において、説明義務違反・不実告知に基づくクーリングオフおよび返金が認められた。

東京高裁平成29年(ネ)第1061号

「簡単に稼げる」を謳ったネットショップ制作サービス。消費者契約法による取消しとクーリングオフが認められた。

これらの判例に共通するのは、

  • 「必ず稼げる」
  • 「確実に利益が出る」
  • 「自動で収益を生む」

という表現があったという点と、

実際に届いたサービスがその説明と大きく乖離していた

という点です。

どちらかに心当たりがある方は、この記事を最後まで読んでください。

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目次

判例から読み取れる「返金が認められる4つのパターン」

個別の判例を解説する前に、5つの判例全体を通じて見えてくる「返金が認められるパターン」を整理します。

自分のケースがどのパターンに当てはまるかを把握することで、以降の各判例解説を「自分ごと」として読み進めることができます。

情報商材詐欺・類似トラブルにおいて返金が認められた判例を分析すると、主に4つのパターンに分類できます。

これらのパターンは単独で成立することもあれば、複数が重なることもあります。重なるほど、返金請求の根拠は強固になります。

【パターン①】「必ず稼げる」「確実に利益が出る」という断定的表現があった

情報商材詐欺において最も広く見られ、かつ返金が認められやすいパターンです。

将来の収益は本質的に不確実なものです。

それにもかかわらず、「必ず」「確実に」「絶対に」「完全自動で」という言葉を使って収益を断言した場合、消費者契約法第4条1項2号の「断定的判断の提供」に該当し、契約の取り消しが認められます。

このパターンで重要なのは、実際に利益が出なかったかどうかに関わらず、断定的な表現で勧誘した事実だけで取り消しの根拠になるという点です。

旭川地裁令和4年判決では、

  • 「あらゆる人をカンタンに1億円・3億円・5億円という大きな資産を目指すことができる」
  • 「完全自動ほったらかしで資産を約125倍にするという強力なパワー」

という表現が断定的判断の提供に該当すると認定されました。

当てはまる言葉の例
  • 「必ず稼げます」「確実に利益が出ます」「絶対に結果が出ます」
  • 「完全自動で収益を生みます」「AIが自動でお金を増やします」
  • 「再現性100%の手法です」「勝率90%超が統計的に証明されています」
  • 「誰でも月収〇〇万円を達成できます」

【パターン②】説明内容と実態が大きく乖離していた(不実告知)

購入前の説明と、実際に届いた商材・サービスの内容が大きく乖離していた場合、消費者契約法第4条1項1号の「不実告知」に該当し、契約の取り消しが認められます。

東京地裁令和元年判決では、「AIによって自動的にお金を増やすことができるハイスピード自動AIシステム」という説明が、実際の商品内容(単に外国通貨取引に投資するというもの)と著しく相違するとして、誇大広告・不実告知が認定されました。

さいたま地裁令和5年判決でも、「自動的に仮想通貨を取引所間で移動させることにより差益を得るシステム」という説明が、実現不可能な差益を確実に得られるとして宣伝したものとして、不法行為が認定されています。

当てはまる言葉の例
  • 「AIシステムが自動で収益を生む」と説明されたが、実態は単純な投資ツールだった
  • 「プロが運用してくれる」と説明されたが、実際にはそのような機能がなかった
  • 「個別コンサルを行う」と約束されたが、一度も実施されなかった
  • 「月収〇〇万円を達成した受講生が続出」という説明が根拠のない誇大表現だった

【パターン④】クーリングオフ・書面交付義務違反

特定商取引法上の書面交付義務が履行されていない場合、またはクーリングオフが適切に説明されていない場合に返金が認められるパターンです。

判例時報2386号の事案では、消費者契約法による取消しとあわせてクーリングオフによる契約解除が認められました。

また、名古屋地裁令和3年12月の刑事事件でも、クーリングオフに関する書面を交付しなかった行為が特商法違反として認定されています。

クーリングオフが使えるケースは、電話勧誘・セミナーでのクロージング・連鎖販売取引(マルチ)など、インターネット通信販売以外の形態で契約した場合に特に広く認められます。

また「クーリングオフできません」という虚偽の説明があった場合、クーリングオフの期間がリセットされます。

当てはまる状況の例
  • セミナー・個別面談・電話でのクロージングを経て契約した
  • 「紹介すれば報酬が得られる」という仕組みがあった
  • 契約後に法定書面が交付されなかった
  • 「クーリングオフはできません」と言われた
  • 「断定的判断の提供」
  • 「不実告知」
  • 「決済代行業者の管理義務違反」
  • 「クーリングオフ・書面交付義務違反」

返金が認められた判例には、この4つのパターンのいずれかが必ず存在します。

複数のパターンが重なるケースでは、より強固な返金請求が可能になります。

「自分のケースはどれに当てはまるか」を意識しながら、以降の個別判例を読み進めてください。

【判例①】FX自動売買ツールについて断定的判断の提供(旭川地裁令和4年)

  • 事件名: 不当利得返還等請求事件
  • 裁判所: 旭川地方裁判所令和4年(ワ)第213号
  • 主文: 被告会社は原告に対し、65万5600円および令和4年9月27日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。被告代表者は同額を連帯して支払え。

【事案の概要】「億万長者になれる」FX自動売買ツールの勧誘

原告(被害者)は令和4年5月頃からスマートフォンで副業を探していました。

そうした中でインスタグラムやフェイスブック上で流れる広告に引き込まれ、被告会社(情報商材業者)のLINEやチャットワーク等に登録したところ、被告会社からAの名前を用いるなどする次のような文言が記載されたセールスレターが多数送信されてきました(以下「本件セールスレター」)。

本件セールスレターで使われた勧誘の言葉は以下の通りです。

  • 「1億円、2億円、3億円を稼ぐことが、約束されていたら……」
  • 「あなたはその、悪魔の取引に応じますか?」
  • 「完全自動、ほったらかしで、桁外れのお金を稼ぎたい方とって、願ってもない、最高の情報となるでしょう」
  • 「完全自動ほったらかしでも、資産を約125倍にするという強力なパワーを持ち、あらゆる人がカンタンに1億円、3億円、5億円という、大きな資産を目指すことができる」
  • 「知識や経験、センスなどは関係なく、どんな方でも、億万長者を目指せます」
  • 「正直、このEAを使うことで、あらゆる人を億万長者にする絶対の自信があります」
  • 「完全自動EAですから、これまでのFXの経験とか知識、そういったものも、全く関係ありません」
  • 「このEAを公開することによって、悪徳業者から攻撃をされてしまう危険性もあると思っております。だからこそ、気軽に公開することはできないのですが、もしあなたが使う場合は、そういったリスクもなく、ただ単純に、相場から利益を追求いただけるものになると思います」

原告(被害者)はこのセールスレターを信じて、令和4年6月10日に被告会社との間で本件契約〔1〕を締結し、代金として43万7800円を振込送金して支払いました。

さらに令和4年6月16日、被告会社(情報商材業者)との間で本件契約〔2〕を締結し、代金として21万7800円を振込送金して支払いました。

合計65万5600円の被害です。

【裁判所の判断】消費者契約法上の断定的判断の提供を認定

裁判所は以下の通り判断しました。

本件セールスレターは、被告会社がLINE・チャットワーク等に登録した不特定多数の者に対する宣伝・広告ではあるものの、その記載内容全体から判断して、被告会社が本件各商品の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るような形で不特定多数の者に向けて働きかけを行い、当該働きかけが個別の者の意思形成に与える程度のものといえるから、被告会社がLINE・チャットワーク等で本件セールスレターを公開・送信したことは、消費者契約法4条1項所定の「勧誘」に当たると判断しました。

さらに、本件各契約は同法4条1項2号(断定的判断の提供)により取り消し得るものと判断。

令和4年9月26日に原告が被告会社に対して本件各契約を取り消す旨の意思表示をしたことが認められ、また、被告会社はこの時から法律上の原因がないことにつき悪意となったものと認められました。

被告代表者については、被告会社に消費者契約法を遵守させるべき注意義務に、少なくとも重過失により違反したものといわなければならないとして、被告会社と連帯して原告への返金を命じました。

法令解説

消費者契約法第4条1項2号(断定的判断の提供)

本判決が適用した消費者契約法第4条1項2号は、将来の不確実な事項について確実であるかのように断言する「断定的判断の提供」を禁じ、これによって消費者が誤認して契約した場合に取り消しを認めます。

「完全自動で資産を125倍に」「知識・経験不要で億万長者を目指せる」という表現が、この規定に該当すると認定されました。

消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

消費者契約法第四条

この判例が示す重要なポイント

この裁判が示す重要なポイントは次の通りです。

①「SNS広告→LINE誘導」という典型的な手口が法的問題と認定された

SNSで広告を見てLINEに誘導され、セールスレターを通じた勧誘を受けるという流れは、情報商材詐欺で最も多い手口の一つです。

本判決は、このようなLINE・チャットワーク上でのセールスレター送信が「消費者契約法上の勧誘」に該当すると明確に認定しました。

  • 「SNSでの広告だから」
  • 「LINEでのやりとりだから」

という理由で法的問題がないとはならないことが示されています。

②「不特定多数への一斉送信」であっても勧誘に当たる

「個別に向けた勧誘ではなく、不特定多数への一斉配信だった」という業者側の反論を、裁判所は退けました。

個別の意思形成に与える程度の影響があれば、一斉送信のセールスレターであっても消費者契約法上の「勧誘」に該当するという点は、LINEの自動配信・メルマガ型の勧誘全般に広く適用される重要な判断です。

③「代表者個人」にも責任が認められた

被告会社だけでなく、代表者個人に対しても連帯して支払いを命じました。会社が消えても代表者個人への請求が可能になる場合があることを示しています。

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【判例②】仮想通貨アービトラージツールについて|決済代行業者の責任(さいたま地裁令和5年)

  • 事件名: 損害賠償請求控訴事件
  • 裁判所: さいたま地方裁判所令和3年(レ)第93号
  • 主文: 原判決を変更する。被控訴人は控訴人に対し、11万5840円および令和2年7月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

【事案の概要】「毎日3万円儲かる」仮想通貨ツールと決済代行業者

本件は、仮想通貨の裁定取引(アービトラージ)ツールを販売するR社の商材を、決済代行業者(被控訴人)が運営する紹介サイトに掲載し販売したことによって生じた被害事案です。

本件サイトを経由する紹介サイトに掲載された動画では、本件商材について以下のような説明がなされていました。

  • 「複数の仮想通貨取引所に仮想通貨の口座を作り、仮想通貨取引所間に仮想通貨の価格差があることを利用して、仮想通貨を異なる取引所間で移動させることで、その差益を得る」
  • 「この差益を得るシステムが、自動的に仮想通貨を取引所間で移動させることにより、毎日3万円儲かる」
  • このシステムの利用料として10万5480円が必要になるが、払えば使い方を教えるし、知識は必要ないし、24時間いつでも対応するなどと説明されていた

控訴人(被害者)はこの説明を信じてシステムを購入しましたが、実際には「その差益を得ることが実現不可能」なものでした。

【裁判所の判断】「販売業者の不法行為」と「決済代行業者の重過失」を認定

裁判所は、R社が、客観的に見てその勧誘に係る差益を得ることが実現不可能であり、差損を被る危険性のある取引手法を安定的かつ確実な利益が得られる取引手法であるかのように宣伝して本件商材の購入を勧誘したことは、その勧誘内容を信じて本件商材を購入した控訴人から購入代金名目で同代金相当額の金員を詐取しようとするものであったといわざるを得ないから、R社の不法行為が成立すると認定しました。

さらに、本判決において最も注目すべきは販売業者(R社)だけでなく、決済代行業者(被控訴人)の損害賠償責任まで認められたという点です。

裁判所は以下のように判断しました。

被控訴人は、R社からの依頼を受け、平成29年12月以降、本件サイトに本件商材を掲載するようになり、その決済代行も受託した。

被控訴人人は、上記掲載に立ち、被控訴人内部の審査マニュアル(証拠、略)に基づき、本件商材の内容等に誇大表現が含まれていないかなどの審査を実施した。

しかし、被控訴人が行っていた商材審査は、形式的なものであって、誇大表現等の掲載を何ら阻止し得ない形骸化したものであったといわざるを得ないことから、上記のような審査の実行をもって被控訴人の故意過失を否定することはできず、むしろ被控訴人は、その公表に係る売上高ランキングの上位者ないし「殿堂入り」と称って又は自らの案内書面によって購入ないし登録を推奨していた詐欺的な商材の場合と同様に、本件商材についても、詐欺的な商品内容及び勧誘方法であることを十分認識しつつ、控訴人を含む本件サイトの利用者がこれを購入しようとすることを認容していたと推認するのが相当であって、上記(1)で判示した幇助について被控訴人の故意が認められるというべきである。

したがって、被控訴人は、少なくとも民法719条2項所定の損害賠償責任を負うと認定されました。

法令解説

民法第719条(共同不法行為・幇助者の責任)

民法第719条は、不法行為を幇助した者も共同行為者とみなし、損害賠償責任を負うと定めています。

本判決では、詐欺的な商材であることを十分認識しながら決済サービスを提供し続けた決済代行業者が、この「幇助者」として責任を負うと認定されました。

数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇ほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

民法第719条

この判例が示す重要なポイント

この裁判が示す重要なポイントは次の通りです。

①「業者が消えても決済代行業者への請求が可能」という実務上の突破口

情報商材詐欺の被害者が最も困る状況の一つが、「業者が消えてしまった」というケースです。しかし本判決は、業者本人への請求が困難な場合でも、決済代行業者への損害賠償請求という手段が残り得ることを示しました。

決済代行業者は、加盟店(販売業者)の審査・管理義務を負っています。形式的な審査しか行わず、誇大表現を含む商材の掲載を黙認し続けた場合、その管理義務違反を根拠として損害賠償責任が認められ得ます。

②「形式的な審査」は免責にならない

被控訴人(決済代行業者)は審査マニュアルに基づいて審査を実施していたと主張しましたが、裁判所はその審査が「形式的なもので誇大表現の掲載を何ら阻止し得ない形骸化したもの」と断じました。

「審査した」という事実だけでは免責されず、審査の実質的な内容・効果が問われることを示しています。

③「売上高ランキング・殿堂入り推薦」という能動的な宣伝が責任を重くした

被控訴人は単に決済を代行していたのではなく、売上高ランキングや「殿堂入り」として商材を積極的に推薦していました。

この能動的な販売促進行為が、「詐欺的内容を認識しながら販売を促進した」という故意の認定につながりました。

決済代行業者が商材を積極的に推薦・宣伝している場合、その責任はより重くなります。

④ クレジットカード払いの被害者に特に重要な判例

クレジットカード払いで被害に遭った方にとって、この判例はチャージバック申請の根拠としても活用できます。「決済代行業者に管理義務違反があった」という事実は、カード会社への異議申し立てにおいても有効な論拠となります。

弁護士からのアドバイス!

業者がすでに消えている」「連絡先がすべて使えなくなっている」という状況でも、この判例が示す通り、決済代行業者への責任追及という手段が残っている場合があります。

特に重要なのは、被害に気づいた時点で決済代行業者への申し立てをできる限り早く行うことです。

決済代行業者はクレームが積み上がると加盟店契約を解除する仕組みがあり、これが業者の営業を止める最も有効な手段の一つにもなります。「業者が消えたから諦めた」と判断する前に、まず専門家に状況を確認してもらってください。

【判例③】AI投資DVD|誇大広告・不法行為(東京地裁令和元年)

  • 事件名: 損害賠償請求事件
  • 裁判所: 東京地方裁判所平成29年(ワ)第43022号

【事案の概要】「3ヶ月で16億円」「AIが自動でお金を増やす」投資DVD

被告会社(株式会社ONE MESSAGE)は、インターネット広告・勧誘動画を通じて以下のような表示をした投資DVD(以下「本件商品」)および付随する高額コース(「パルテノンコース」)を販売していました。

広告における主な表示内容
  • 「参加者にわずか3ヶ月で16億円稼がせた”秘密の手続き”で日本人全員を億万長者にする」
  • 「日本初公開の最新テクノロジーを利用した18歳の高校生から90歳のおじいちゃんまで日給3万〜30万円の不労所得を手に入れたビジネス初心者が続出中」
勧誘動画における主な表示内容
  • 「AI(人工知能)によって自動的にお金を増やすことができるハイスピード自動AIシステム」
  • 「初期設定さえ済ませてしまえば、本件商品購入者の代わりに24時間365日、資金を増やし続けてくれる」

複数の原告がこれらの広告・動画を信じて本件商品を購入し、損害を被ったとして、被告会社・代表者g・関係者hに対して共同不法行為に基づく損害賠償を請求しました。

【裁判所の判断】誇大広告・悪意の受益者・共同不法行為を認定

裁判所はまず、本件広告について以下のように判断しました。

誇大広告(特商法12条違反)の認定

本件広告は、

  • 「参加者にわずか3ヶ月で16億円稼がせた」
  • 「日給3万〜30万円の不労所得を手に入れたビジネス初心者が続出中」

といった文言から、本件DVDを購入することによって、確実に多額の利益を得ることができるものであることを表示するものと認められる。

他方、本件DVDの内容は、主に本件システムの内容を紹介するものであり、確実に多額の利益を得ることができる方法が紹介されているわけではなく、本件DVDを購入することによって初めて購入することができるパルテノンコースの本件システムも、単に、投資家が購入するとおりに自らの資金を外国通貨取引に投資するというものであって、日本初の最新テクノロジーを利用するものではなく、確実に多額の利益を得ることができるものではない。

そうすると、本件広告は、本件DVDという商品の性能について、著しく事実に相違する表示をするものと認められ、特商法12条において禁止されている誇大広告に該当すると判断されました。

勧誘動画についても同様に誇大広告と認定

本件勧誘動画は、その広告内容が「AIシステムによって自動的に多額の利益を得ることができる」という印象を与えるものであるが、パルテノンコースの本件システムは、単に投資家が購入するとおりに自らの資金を外国通貨取引に投資するというものであって、自動的に多額の利益を得ることができるものではないことから、前記同様に特商法12条において禁止されている誇大広告に該当すると認定されました。

悪意の受益者・共同不法行為の認定

裁判所は、被告会社は消費者契約法違反の勧誘行為を行っていることを認識しており、悪意の受益者である(民法704条)と判断しました。

また、被告g(代表者)は本件商品の勧誘動画に出演して本件商品の勧誘を行い、本件商品の内容及び性質を認識した上で本件商品の勧誘を行ったと推認されることから故意が認められ、被告h(関係者)も同様に故意が認められるとして、被告会社・g・hの間には共同不法行為(民法719条1項)が成立すると認定し、損害賠償の支払いを命じました。

なお、原告らが被った弁護士費用相当額の損害は、上記各金額の1割に相当する金額であると認めるのが相当であるとして、弁護士費用相当額も損害として認められました。

法令解説

特定商取引法第12条(誇大広告等の禁止)・共同不法行為(民法719条1項)

特商法第12条は通信販売における誇大広告を禁止しています。

また民法第719条1項は、数人が共同で不法行為を行った場合の連帯責任を定めています。

本判決では、広告・動画の誇大表示が特商法違反と認定されたうえで、関与した複数の被告に共同不法行為として連帯責任が認められました。

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品若しくは当該権利の売買契約又は当該役務の役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

特定商取引法第12条

この判例が示す重要なポイント

この裁判が示す重要なポイントは次の通りです。

①「YouTube・SNS広告動画」も誇大広告の対象になる

本判決では、販売ページだけでなくYouTube等の動画広告も特商法12条の誇大広告として違法と認定されました。「AIが自動でお金を増やす」「24時間365日資金を増やし続ける」という動画内の表現が、実際の商品内容と著しく乖離するとして問題になっています。

SNS広告・YouTube広告・勧誘動画を見て商材を購入した方にとって、その広告動画のスクリーンショット・URLが重要な証拠になることを示しています。

②「代表者・関係者個人」にも共同不法行為責任が認められた

被告会社だけでなく、代表者g・関係者hの個人責任も認定されました。

「会社は解散した」「法人は存在しない」という状況でも、勧誘に関与した個人への請求が可能になる場合があることを示しています。

③「弁護士費用相当額」も損害として認められた

損害賠償額に加えて、弁護士費用相当額(認容額の1割)も損害として認められました。

「弁護士に依頼したら費用がかかって損をしないか」という不安を持つ方にとって、弁護士費用が損害として回収できる可能性があることを示す重要なポイントです。

④「悪意の受益者」認定——返還義務の強化

裁判所が被告会社を「悪意の受益者」と認定したことで、不当利得の返還義務が強化されました。

消費者契約法違反であることを認識していた業者は、善意の場合と異なり、より重い返還義務を負います。

【判例④】インターネットショッピングサービス|説明義務違反・不実告知

  • 事件名: インターネットショッピングを利用した電子商取引に関する事案(不当利得金返還請求事件)
  • 裁判所: 大阪地裁平成21年(ワ)第16489号

【事案の概要】「簡単に稼げる」ネット通販サービスと説明義務違反

本件は、インターネットショッピング運営支援サービス(以下「本件ネットショッピング」)の利用契約をめぐる事案です。

原告X・Yらは、被告(インターネット支援サービス事業者)との間で本件ネットショッピングの利用契約を締結しました。被告は、本件ネットショッピングに関するホームページ等において、以下のような説明を行っていました。

  • ドロップシッピング(在庫を持たずに商品を販売する仕組み)を活用した「誰でも簡単に収入を得られる」という訴求
  • 「本件ネットショッピングを利用することで、安定的に月〇〇万円の収入が見込める」旨の説明
  • サービス内容・機能について、実際には提供できない内容を含む説明

しかし実際には、本件ネットショッピングで説明されたような収益を得ることは困難であり、また約束されたサービス内容も十分に提供されませんでした。

原告らは、被告の説明義務違反・不実告知を根拠として、支払った利用料の返還を求めて提訴しました。

【裁判所の判断】消費者契約法上の不実告知・クーリングオフを認定

裁判所は、被告が本件ネットショッピングのホームページ・説明資料において行った説明の内容について、実際のサービス内容と照らし合わせたとき、重要事項について事実と異なる内容を告げていたと認定しました。

具体的には、「誰でも簡単に稼げる」「安定的な収入が見込める」という説明が、実際の本件ネットショッピングの機能・収益性と著しく乖離しており、消費者契約法第4条1項1号(不実告知)に該当すると判断しました。

特定継続的役務提供としてのクーリングオフの認定

本件ネットショッピングの利用契約は、継続的なサービス提供を内容とするものとして、特定商取引法上の特定継続的役務提供に該当すると認定されました。

これにより、法定のクーリングオフ期間内における契約解除が認められ、支払済みの利用料の返還が命じられました。

また、本件では被告が特定継続的役務提供に関する書面を適切に交付していなかった点も問題とされ、書面不交付によるクーリングオフ期間の起算点への影響についても検討されました。

運営代行会社の責任

本件ではさいたま地裁令和5年判決と同様に、販売業者だけでなく、本件ネットショッピングの運営・管理に関わった会社の責任も争点となりました。

裁判所は、本件ネットショッピングの運営に実質的に関与していた会社についても、原告らへの損害賠償責任を認めました。

法令解説

特定商取引法・特定継続的役務提供のクーリングオフ

特定商取引法は、エステティックサービス・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介サービスなどの「特定継続的役務提供」について、契約書面を受け取った日から8日間のクーリングオフを認めています。インターネットを利用した継続的サービスの提供もこれに該当する場合があり、本判決はその重要な先例の一つです。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務の提供を受けようとする者又は特定継続的役務の提供を受ける権利を購入しようとする者と特定継続的役務提供契約又は特定権利販売契約(以下この章及び第五十八条の二十二において「特定継続的役務提供等契約」という。)を締結しようとするときは、当該特定継続的役務提供等契約を締結するまでに、主務省令で定めるところにより、当該特定継続的役務提供等契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。

特定商取引法第42条

この判例が示す重要なポイント

この裁判が示す重要なポイントは次の通りです。

①「簡単に稼げる」という説明が不実告知と認定された
  • 「誰でも簡単に収入を得られる」
  • 「安定的な収入が見込める」

という説明は、情報商材詐欺の勧誘でも頻繁に使われる表現です。

本判決は、このような説明が実際のサービスの実態と乖離している場合、消費者契約法上の不実告知として契約の取り消し根拠になることを示しています。

②「稼ぐ方法を教えるサービス」も特定継続的役務提供に該当し得る

「ネットビジネスのノウハウを教えるサービス」「副業の稼ぎ方をサポートするコンサルティング」という形態のサービスも、継続的に役務を提供するものとして、特定商取引法上の特定継続的役務提供に該当する場合があります。

これは情報商材の

  • 「オンラインサロン」
  • 「コンサル塾」
  • 「副業スクール」

と構造的に極めて近く、本判決はこれらの被害に直接適用し得る重要な先例です。「デジタルコンテンツだから」「オンラインサービスだから」という理由でクーリングオフが使えないとは限りません。

③「書面不交付」がクーリングオフ行使を拡張する

特定継続的役務提供に該当する契約では、業者が法定書面を交付する義務があります。

書面が交付されていない場合、クーリングオフの起算点が遅れ、実質的にクーリングオフを行使できる期間が延長されることがあります。

「クーリングオフ期間は過ぎた」という業者の主張に対して、「そもそも書面が交付されていたか」を確認することが重要です。

④情報商材詐欺との類似性|「稼げる仕組みを提供する」系サービス全般に適用し得る

本件はインターネットショッピング支援サービスの事案ですが、「このサービスを使えば稼げる」という訴求で販売される情報商材・副業ツール・スクールサービス全般に、同様の法的構造が当てはまります。

「自分のケースと同じジャンルの判例ではないから関係ない」とは言えないことを示しています。

押さえておこう!

〜「クーリングオフ期間を過ぎてしまった」と諦めているあなたへ〜

「気づいたときにはもう8日が過ぎていた」「クーリングオフはもう無理だと思っていた」という方がいます。でも、この判例が示すように、書面が適切に交付されていない場合、クーリングオフの期間はリセットされることがあります。

「契約時に何かの書類を受け取ったか」「その書類にクーリングオフについて書いてあったか」

これを確認するだけで、まだ手段が残っている可能性があります。一人で諦める前に、専門家に確認してもらってください。

【判例⑤】ネットショップ制作サービス|不実告知・クーリングオフ

  • 事件名: ネットショップ制作に係る契約ホームページ等の説明義務違反事案(不当利得金返還請求事件)
  • 裁判所: 東京高裁平成29年(ネ)第1061号

【事案の概要】「月に何百万円も稼げる」ネットショップ制作サービス

本件は、ネットショッピング制作サービス(商品名「C」)の販売をめぐる、複数の原告による損害賠償・返金請求事件です。

被告Y(サービス運営会社)は、Xを含む複数の消費者に対して、以下のような説明・勧誘を行いました。

ホームページ・説明資料における主な表示内容

本件ネットショップ制作サービスは、インターネット上でのショッピングサイトを「C」というブランドで展開するもので、加入者に対してドメイン取得、ホームページ制作、商品の仕入れ・ネット販売の運営支援、SEO対策等のサービスを月額費用で提供するというものでした。

勧誘に際して「本件システムを利用することで月に何百万円もの収益が得られる」旨の説明が行われていました。

実際のサービス内容との乖離

しかし実際には、本件サービスを利用しても、説明されたような月に何百万円もの収益を得ることは極めて困難であり、説明内容と実態は大きく乖離していました。

また、システムの機能・サポート体制についても、説明された内容と実際の提供内容に差異がありました。

複数の被告・多額の支払い

本件では複数の原告が提訴しており、1人あたりの支払額は数十万円から百数十万円に及びました。

支払いはクレジットカードの分割払いを含む複数の方法で行われていました。

【裁判所の判断】消費者契約法による取消し・クーリングオフを認定

裁判所は、被告Yの本件勧誘において行われた説明内容について、以下の問題点を認定しました。

本件サービスに関するホームページ・説明資料において「月に何百万円もの収益が得られる」旨の説明は、本件サービスの実態に照らして著しく事実と相違するものであり、消費者契約法第4条1項1号(不実告知)に該当するとして、契約の取消しが認められました。

また、「本件システムを活用することで確実に収益が得られる」という趣旨の説明については、消費者契約法第4条1項2号(断定的判断の提供)の観点からも問題があるとされました。

特定継続的役務提供としてのクーリングオフの認定

本件ネットショップ制作サービスは、月額課金による継続的なサービス提供という性格を持つとして、特定商取引法上の特定継続的役務提供に該当すると認定されました。

これにより、法定のクーリングオフ期間内における契約解除が認められた原告については、支払済みの費用の返還が命じられました。

分割払い・クレジット契約に対する抗弁権の接続

本件ではクレジットカードの分割払いで支払いを行った原告もおり、割賦販売法に基づく抗弁権の接続が問題になりました。

裁判所は、販売業者との契約に取消事由がある場合、その事由をクレジット会社に対しても主張できるとして、分割払い残債の支払い拒絶を認めました。

被告Yの代表者・関係会社の責任

本件では被告Y(サービス運営会社)のみならず、実質的な業務を担っていた関係会社・代表者個人についても責任が争点となり、一部について連帯責任が認められました。

法令解説

割賦販売法(抗弁権の接続)

割賦販売法は、消費者が販売業者に対して主張できる事由(契約の取消し・解除・債務不履行など)を、クレジット会社に対しても主張できると定めています。本件では、販売業者との契約が消費者契約法により取り消せる場合に、その取消事由をクレジット会社に対しても主張し、残債の支払いを拒絶できることが認められました。

購入者又は役務の提供を受ける者は、第二条第三項第一号に規定する包括信用購入あつせんに係る購入又は受領の方法により購入した商品若しくは指定権利又は受領する役務に係る第三十条の二の三第一項第二号の支払分の支払の請求を受けたときは、当該商品若しくは当該指定権利の販売につきそれを販売した包括信用購入あつせん関係販売業者又は当該役務の提供につきそれを提供する包括信用購入あつせん関係役務提供事業者に対して生じている事由をもつて、当該支払の請求をする包括信用購入あつせん業者に対抗することができる。

割賦販売法第30条の4

この判例が示す重要なポイント

この裁判が示す重要なポイントは次の通りです。

①月に何百万円も稼げる」という説明が不実告知と認定された

「このサービスを使えば月に何百万円も稼げる」という説明は、情報商材・副業スクール・コンサルティングの勧誘で頻繁に使われる表現です。

本判決は、このような説明が実際のサービスの実態と著しく乖離している場合、消費者契約法上の不実告知として契約の取消し根拠になることを改めて示しています。

②「不実告知」と「断定的判断の提供」が重なって認定された

本判決では、不実告知(4条1項1号)と断定的判断の提供(4条1項2号)の両方が問題とされました。

消費者契約法上の複数の根拠が重なる場合、いずれかが認定されれば取消しが可能であり、両方を主張することで請求の根拠が強固になります。

③「分割払い・クレジット残債への抗弁権接続」が認められた

本判決で特に重要なのは、クレジットカードの分割払いが絡む案件でも、販売業者との契約の取消事由をクレジット会社に主張できるという点が認められたことです。

「ローンを組んでしまったからもう支払い続けるしかない」「業者は消えたがローンだけが残っている」という状況でも、割賦販売法の抗弁権の接続を活用することで、残債の支払い停止・既払い分の返還を求めることができます。

④月額課金型・継続課金型のサービスに広く適用し得る

本件の「月額課金型のネットショップ制作サービス」という形態は、現在多く見られる月額制オンラインサロン・月額制副業コンサル・月額制投資情報サービスと構造的に類似しています。

「月額で課金し続けさせるサービス」において説明内容と実態が乖離していた場合に、同様の法的構造で返金が認められる可能性があります。

弁護士からのアドバイス!

「業者は消えてしまったのに、毎月のローン返済だけが続いている」という状況の方へ。

この判決が示す通り、販売業者との契約に消費者契約法上の取消事由がある場合、その事由をクレジット会社・信販会社に対しても主張することができます。

つまり、残りのローンの支払いを止め、すでに支払った分の返還を信販会社に直接求めることができる可能性があります。

「業者が消えたからもう無理だ」という状況でも、信販会社への請求という手段が残っています。「払い続けるしかない」と一人で結論を出す前に、まず弁護士に状況を確認してもらってください。動けるタイミングは、今かもしれません。

5つの判例から読み取る「返金請求を成功させるための共通要素」

ここまで5つの判例を個別に解説してきました。

このセクションでは、各判例を横断的に見たとき、「返金請求が認められるために何が共通して重要だったか」を整理します。

「自分のケースでも返金を請求できるか」という問いへの答えは、被害の状況・証拠の内容・決済手段によって異なります。

しかし5つの判例から読み取れる共通要素は、その答えを探すうえで最も実用的な指針になります。

【共通要素①】「証拠」が勝敗を分けた

5つの判例すべてに共通する最重要の要素が、証拠の存在です。

旭川地裁令和4年判決では、被告会社がLINE・チャットワークで送信したセールスレターの内容が証拠として認定されました。東京地裁令和元年判決では、広告ページ・勧誘動画の内容が誇大広告の証拠となりました。さいたま地裁令和5年判決では、紹介サイトに掲載された動画の説明内容が不法行為の認定に直結しました。

これらの判例が示す共通点は、「勧誘の際に使われた言葉・説明内容が証拠として残っていたこと」が、返金認定の基礎になったという点です。

証拠として特に重要なもの
  • 購入前の販売ページ・ランディングページのスクリーンショット(「必ず稼げます」「確実に利益が出ます」という断定的表現が含まれるもの)
  • SNS広告・YouTube動画・勧誘動画のURL・スクリーンショット
  • LINEトーク・メール・チャットのやりとり全履歴(勧誘・クロージング・返金申し出への対応を含む)
  • 契約書・利用規約・申込確認メール
  • 決済明細・クレジットカード利用明細・銀行振込明細・ローン契約書

【共通要素②】「詐欺と断言できなくても」返金が認められた

5つの判例のうち、刑事上の詐欺罪として立件されたのは名古屋地裁令和3年12月判決(前記事で解説)のみです。残る4つの民事判例はいずれも、刑事事件化されることなく民事上の返金請求が認められています。

この事実が示す重要なことは、「詐欺と証明できるかどうか」は、返金請求の成否に直接影響しないという点です。

  • 旭川地裁令和4年は、「断定的判断の提供」という消費者契約法上の根拠のみで返金を認めました
  • さいたま地裁令和5年は、「実現不可能な収益を確実に得られるとして宣伝した」という不法行為で認めました
  • 東京地裁令和元年は、「著しく事実に相違する広告表示」という特商法上の誇大広告で認めました

いずれも「詐欺罪が成立するかどうか」とは無関係に、民事上の法的根拠によって返金が認められています。

「詐欺かどうかわからない」「詐欺とまでは言えないかもしれない」という状況でも、民事上の返金請求は十分に可能です。

【共通要素③】「業者以外」への請求が有効だったケース

5つの判例の中には、販売業者本人以外への請求が認められたケースが複数含まれています。

さいたま地裁令和5年判決では、決済代行業者への損害賠償請求が認められました。

業者が消えても、決済代行業者という「別の被告」に対して請求できることが示されています。

東京地裁令和元年判決・旭川地裁令和4年判決では、代表者個人への連帯責任が認められました。

会社が解散・消滅した後でも、代表者個人への請求が可能になる場合があることが示されています。

クレジット会社への抗弁権の接続が認められた判例も紹介しました。業者が消えてローンだけが残っている状況でも、信販会社への支払い停止・返還請求が可能なことが示されています。

この共通要素が示す実務上の重要なメッセージは、「業者が消えた=すべての手段がなくなった」ではないということです。

【共通要素④】「複数の法的根拠」が組み合わさって認定された

5つの判例のいずれにおいても、単一の法的根拠だけで判断されているケースはほとんどありません。

複数の根拠が組み合わさって、返金認定が強固になっています。

判例主な法的根拠の組み合わせ
旭川地方裁判所令和4年(ワ)第213号消費者契約法4条1項2号(断定的判断)+代表者の注意義務違反
さいたま地方裁判所令和3年(レ)第93号不法行為(民法709条)+決済代行業者の幇助(民法719条2項)
東京地方裁判所平成29年(ワ)第43022号特商法12条(誇大広告)+消費者契約法違反の認識+共同不法行為(民法719条1項)
大阪地裁平成21年(ワ)第16489号消費者契約法4条1項1号(不実告知)+特商法クーリングオフ
東京高裁平成29年(ネ)第1061号消費者契約法4条1項1号・2号+特商法クーリングオフ+割賦販売法(抗弁権の接続)

「一つの根拠しか使えないから弱い」ということはありません。

複数の根拠を組み合わせて主張することで、返金請求の説得力と認定される可能性が高まります。

自分のケースを判例と照らし合わせる方法

5つの判例と自分のケースを照らし合わせる際の観点を整理します。

①勧誘時の言葉を確認する
「必ず稼げる」「完全自動で収益を生む」「誰でも月〇〇万円を達成できる」という断定的な表現があったかどうかを確認します。※旭川地裁令和4年・東京地裁令和元年・判例時報2386号が参考になります。
②説明内容と実態の乖離を確認する
購入前の説明と、実際に届いたもの・提供されたサービスの内容を比較します。※さいたま地裁令和5年・判例時報2131号・2386号が参考になります。
決済手段を確認する
クレジットカード払いであればチャージバック・決済代行業者への申し立て、ローン払いであれば抗弁権の接続、という手段を確認します。※さいたま地裁令和5年・判例時報2386号が参考になります。
④「業者以外の被告」の存在を確認する
決済代行業者・関連会社・代表者個人など、販売業者以外に責任を問える存在がないかを確認します。※さいたま地裁令和5年・東京地裁令和元年が参考になります。

弁護士からのアドバイス!

「判例と自分のケースを照らし合わせたが、どれが当てはまるか判断できない」という方へ。

判例との照合は、法律の専門知識がないと正確に行うことが難しく、「当てはまらないと思っていたが、実は当てはまっていた」というケースは実務上非常に多く見られます。特に「複数の根拠の組み合わせ」や「業者以外への請求」は、専門家でなければ見落としやすいポイントです。

「判例には当てはまらないかもしれない」という段階でも、弁護士に状況を整理してもらうことで、見えていなかった手段が見つかることがあります。初回相談は無料です。「自分のケースで使える根拠はどれか」を確認するだけでも、次の行動が明確になります。

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まとめ

この記事では、情報商材詐欺・類似トラブルにおいて実際に返金が認められた5つの判例を解説してきました。

「返金できるかどうか」という問いに対して、裁判所は明確な答えを積み重ねています。

  • 「必ず稼げる」という断定的表現があった
  • 説明内容と実態が乖離していた
  • 決済代行業者が形式的な審査しか行わなかった

これらの状況において、実際に返金・損害賠償が認められています。

「判例を読んで、自分のケースと似た状況があった」と感じた方へ。その気づきは、返金請求を検討し始めるべきサインです。

しかし、「判例に当てはまるかどうか」の判断を一人で行うことには限界があります。

「当てはまらないと思っていたが、実は複数の根拠が使えた」というケースは実務上非常に多く、専門家による整理が不可欠です。

今この記事を読み終えた今がタイミングです。

まず証拠を保全し、次に専門家に現状を話してみてください。

「相談したからといって依頼しなければならない」ということはありません。「自分のケースで何ができるか」を確認するだけでも、次の一歩が見えてきます。